たなちの備忘録

自分の知識をストックしていくためのブログ

【感想】「人生の勝算」を読んでSHOWROOMにハマる理由がわかった

スポンサーリンク

f:id:chi_tana:20180331143539p:plain

SHOWROOM総合プロデューサーの前田裕二氏の著書、「人生の勝算」を読みました。前田氏のSHOWROOMを立ち上げて今に至るまでの生い立ちと、SHOWROOMのファンビジネスの仕組みついて書いてあります。

僕は一時期かなりSHOWROOMに夢中になって視聴していましたが、その理由を考えながら読めましたw

まさに「SNS時代のマーケティング」って感じです。リスナーを増やしたい配信者はもちろん、SNSを活用したビジネスをしている方におすすめです!

SHOWROOMは仮想ライブ空間でのストリーミング配信サービスです。

SHOWROOMの原点はストリートライブ

前田氏が小学生のときに行っていたストリートでのギター弾き語りの原体験が、SHOWROOMの原型になっているそうです。当時は、音楽的な表現よりもどうすれば路上ライブで「食べていけるか」を考えていたとのこと。その年でマーケティングの考えができていることがすごい。。

当時の戦略はこんな内容。

  • 富裕層が多いエリアを探し、そこのお客さんが知ってるような歌謡曲(松田聖子や吉幾三など)を歌って興味を引く。
  • お客さんのリクエストを受ける。(知らない曲は無理に歌わず、次回までに練習しておく)
  • 次回お客さんが来る日を約束してもらい、リクエストを受けた曲を披露する。

その結果、1万円の投げ銭をしてもらったそうです。(すごい)

お客さんがギターケースにお金を入れる理由が、「歌が上手だったから」という表層的なコンテンツ起因ではなく、「心が揺れ動いたから、通じ合ったから」という感情起因であれば、松田聖子さんにも勝てるかもしれない。

本文から引用

この経験からお客さんは歌が上手いことよりも、自分とのストーリー(この場合は自分のために練習して歌ってくれたこと)に価値を感じることを学んだそうです。

パフォーマンスの質が高いものを評価することとは別に、頑張ってる人を応援したくなる気持ちも少しわかりますよね。自分との間に共有できるモノがあればなおさらです。

SHOWROOMが面白い理由

スナックのような密度の高いコミュニティ

スナックに通う人は、お酒を飲むことが目的ではなくて、ママとの会話や常連さんとの繋がりを楽しみにしていることが多いようです。で、SHOWROOMの魅力もスナックにかなり似ています。(僕はスナックに行ったことはありませんが笑)

リスナーとして体感したのですが、ある程度居続けると配信者との会話だけでなくいつもいる他のリスナー(スナックでいう常連さん)とのやりとりが面白いことも多いにも気づきましたw

こういうスナックのような密度の高いコミュニティをデジタルで再現できる仕組みがSHOWROOMの魅力だと思いました。濃いコミュニティが形成されると、居続けるようになるファンが増えます。誰でもSNSを使う今の時代とこうしたデジタルコミュニティは相性がいいんじゃないかと思います。

UIがある程度リスナーが目立つようになっている理由の一つは、上記のようなファン参加型のサービスだからだと得心しました。アバターで誰を推しているかを表現できるのも魅力だし、ルームが配信者のアバターで埋まっているのはなかなか一体感もあります。

SHOWROOMにおける「ハイクオリティ」は絆やコミュニティ

「クオリティ」の定義が変わってきているのです。

(中略)

歌のうまさや芸術性が価値になるのではない。コンテンツ供給側と受け取る側が心で繫がって、そこに絆が生まれる。コミュニティが生まれる。感動が生まれる。それがビジネスに転換されていく仕組みが、SHOWROOMです。

本文から引用

高度なスキルがあるだけではビジネスとして生き残りにくくて、インターネットやSNSでつながる需要が高まっているからこそ成り立つビジネスだと思いました。歌がうまいだけ、演奏がうまいだけ、それ自体は尊いことですが、そうしたものが見たければ別のコンテンツに行きますからね。

この辺りは前田氏の弾き語りの経験がとてもわかりやすく活きています。演者との距離感というか。。頑張っているのが見えるし、不完全だからこそ応援して一緒にスターになるのを見たくなるんですよね。

完全に余談ですが、僕が初めてギフティングをしたのは、配信者との会話が面白かったのがきっかけです。配信者が歴史好きで、好きな城について熱く語ってくれてなんか面白かったんですよねwで、面白くて見ているうちに声優として売れたい気持ちも聞くことがあり、そこから応援してました。

いつか前向きな理由でSRを卒業してくれたら嬉しいなと思っています。

余談その2。読み終わった直後にこんなツイートをしたらなんと前田氏からRTしていただきました!嬉しい。

タレントの余白というのは、ファンがタレントをつい支えたくなるような要素のことです。

さいごに

自分がなぜこのサービスにハマったのかを考えながら読めましたし、今の時代のマーケティング本としても面白かったです。文体も読みやすいので気楽に読むのも勧められます。

他にも就活時に自己分析ノートを30冊以上つくったという前田氏の圧倒的な努力量が伝わるエピソードや、「運命に屈したくない」、「頑張った人が正しく報われるようにしたい」といった前田氏の思いが書いてある点が好きです。

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)

僕だけかもしれませんが、こういったサービスでコミュニティの多様性が高まっていることは、仮想通貨で非中央集権的な独自の経済圏が力をつけていくのと感覚的に似てる気がしました。笑

仮想通貨で億り人になったニシノカズ氏もおすすめしてますね!*1 SNS時代のマーケティングはすごく同意できる。